- リーマンショック前に100万円を投資した場合の元本回復日
- 毎月1万円の積立を続けた場合と、追加投資しなかった場合の違い
- 回復するまでに、資産がどこまで減ったか
- 金額や為替条件を変えて試せるシミュレーター
「暴落直前にまとまったお金を入れてしまったら、いつ元本に戻るんやろ?」
レバナスやタマレバを積み立てていると、上がったときの期待だけでなく、こういう場面も気になります。僕自身、タマレバは月1万円+余ったポイントの少額枠で続けると書いています。
そこで今回は、リーマンショック前の高値で100万円を投資し、その後も毎月1万円を入れ続けたらどうなるかを計算しました。対象は、NASDAQ100の日々の値動きに対して2倍を目指すQLDと、3倍を目指すTQQQです。
最初に大切な前提:TQQQの設定日は2010年2月9日で、2007年の運用実績はありません。この記事では、設定前を日次データで推計し、取得できる実績につないでいます。TQQQの結果は、仮定を含む試算として読んでください。また、QLD・TQQQの結果は、日本のレバナスやタマレバそのものの運用成績ではありません。
結論|毎月1万円を続けると、初回の元本回復は約4年4か月
今回の条件では、為替込みの円建てでQLDは2012年2月28日、TQQQは推計を含めて2012年3月13日に、初めて累計入金額を上回りました。開始から、どちらもおよそ4年4か月です。
| 項目 | QLD | TQQQ 設定前は推計 |
|---|---|---|
| 初回の元本回復日 | 2012/2/28 | 2012/3/13 |
| その時点の累計入金 | 151万円 | 152万円 |
| その日の評価額 | 約153.4万円 | 約160.8万円 |
ここでいう「元本」は、最初の100万円だけではありません。100万円+その日までに追加した積立額です。積立でお金を足した分も含めて、損益がプラスに戻ったかを判定しています。
ころろん約4年4か月で戻った、と聞くと少し安心しそう。でも、その途中の残高を見たら「これは簡単には続けられへんな…」と思いました。
金額を変えて試せる|元本回復シミュレーター
下の「最初の投資額」「毎月の積立額」を変更すると、回復日とグラフを再計算します。「再生」で時間の流れを追い、スライダーで気になる日を確認できます。積立額を0万円にすると、一括投資だけの場合も試せます。
初期設定は100万円+月1万円、為替込み・円建てです。以下の本文・表も、この初期設定を基準にしています。グラフの表示期間と回復判定の期間は別で、判定には2020年末までのデータを使用しています。
検証条件|2007年10月31日の高値からスタート
開始日は2007年10月31日。NASDAQの資料で、金融危機前のNASDAQ100の終値高値が2,238.98だった日です。リーマン・ブラザーズ破綻の直前日ではなく、下落が始まる前の高値をつかんだケースを検証します。
| 条件 | 今回の設定 |
|---|---|
| 最初の投資 | 2007年10月31日終値で100万円 |
| 積立 | 2007年11月から毎月末の対象取引日の終値で1万円 |
| 比較方法 | QLD、TQQQにそれぞれ100万円を投資した別々のケース |
| 円換算 | 当時のドル円を購入・評価に反映 |
| 元本回復 | 一度元本割れした後、評価額が累計入金額以上になる最初の日 |
| 検証期間 | 2007年10月31日〜2020年12月31日 |
| 省略したもの | 投資家の税金・売買手数料・為替スプレッド。端数口数の購入は可能と仮定 |
QLDやTQQQ、円換算後の価格それぞれの高値の日を選び直したわけではありません。NASDAQ100の高値の日にそろえた比較です。
いちばん厳しい場面|112万円入れて、残高は約6.2万円
今回の検証で特に見ておきたいのは、回復日よりも途中の落ち込みです。両ケースとも、最低残高になったのは2008年11月20日でした。
| 2008年11月20日時点 | QLD | TQQQ 設定前は推計 |
|---|---|---|
| 累計入金額 | 112万円 | 112万円 |
| 評価額 | 約17.9万円 | 約6.2万円 |
| 入金総額に対する含み損率 | 約−84.0% | 約−94.4% |
最初の100万円に加えて、すでに12万円を積み立てているのに、TQQQ相当の残高は約6.2万円。これは、数字だけでもかなり重たいです。
この含み損率は「その日の評価額÷その日までの入金総額−1」で計算しています。最高値からの下落率を表す「最大ドローダウン」とは異なります。



112万円を入れて、画面には6万円台。結果を知っている今なら「積立を続けよう」と言えても、その場で同じ判断ができるかは別やな、と思います。
積立なしと比べると、元本回復日はどう変わる?
同じ日に100万円だけ投資し、その後は追加しなかった場合も比較しました。為替の条件は同じです。
| 初回の元本回復日 | QLD | TQQQ 設定前は推計 |
|---|---|---|
| 100万円だけ・積立なし | 2013/5/6 | 2013/11/29 |
| 100万円+毎月1万円 | 2012/2/28 | 2012/3/13 |
この相場では、下落中も買い続けたケースの方が、早く累計入金額を回復しました。安い価格で買い増した口数が、その後の上昇で効いています。
ただし、積立は追加の資金を投入しているので、回復日の早さだけで投資効率の優劣まで決めることはできません。「積み立てれば、どんな暴落でも助かる」という意味でもありません。
為替も影響|ドルの値動きだけなら回復日は違う
円で投資する場合は、ETFの値動きに加えてドル円も影響します。為替を固定して、ドル建て価格の動きだけを反映した場合は、次のようになりました。積立条件は100万円+月1万円です。
| 初回の元本回復日 | QLD | TQQQ 設定前は推計 |
|---|---|---|
| 為替込み・円建て | 2012/2/28 | 2012/3/13 |
| 為替を固定して比較 | 2011/1/5 | 2011/2/16 |
今回の期間では、為替込みの方が回復まで長くかかりました。なお、シミュレーターの「為替固定」は、為替ヘッジ型商品の運用を再現したものではありません。ヘッジコストなどは計算していません。
NASDAQ100の倍率と為替の影響を分けて考える話は、タマレバは為替も3倍?NASDAQ100は3倍・ドル円は1倍になる仕組みでも整理しています。
一度戻っても、その後また元本割れする
最初の元本回復日は、「その日からずっと安心できる日」ではありません。今回のQLD、TQQQの両ケースも、初回回復後に再び元本割れしています。
2020年末までの検証範囲で、最後の元本割れの後に再び累計入金額以上となった日は、QLDが2012年11月21日、TQQQが2012年12月31日でした。これはあくまで今回のデータ内の結果で、以後の元本維持を保証する日付ではありません。
この検証を、僕の積立にどう生かすか
今回の結果から僕が確認しておきたいのは、「4年ほど待てば大丈夫」ではなく、戻るまでの間も無理なく持てる金額なのかという点です。
- 大きく下がっても、生活費や近い将来使うお金に影響しないか
- 収入が減ったときにも、同じ積立を続ける前提でよいか
- 残高が大幅に減っても、その金額を持ち続けられるか
僕は、S&P500、レバナス、タマレバをそれぞれ違う役割で持つ方針です。詳しくは、レバナスとタマレバを両方積み立てる僕の使い分けにまとめています。
また、日次2倍・3倍の商品は、長期間のリターンが指数のきっちり2倍・3倍になる商品ではありません。値動きの順序や金利コストも効いてきます。仕組みは、高金利だとなぜレバナス・タマレバはキツい?も参考にしてください。
計算方法と出典|TQQQの設定前はどう推計した?
QLD:Yahoo Financeの分割・分配調整後終値の日次比率を使用。税引前の分配金再投資に相当する扱いです。ETF内部の費用は価格に反映されているので、別途二重に差し引いていません。
TQQQ:2007年10月31日から、取得できた最初の価格日である2010年2月11日までは推計。その後はTQQQの調整後終値の日次比率につないでいます。実際の設定日は2010年2月9日です。
1日ごとの倍率=
1+3×NASDAQ100の日次騰落率
−2×期間中のFF実効金利の日割り合計
−0.95%×経過暦日数÷365
年0.95%は推計のために置いた費用仮定で、設定前に実際に発生した費用ではありません。金利にはFREDのDFFを使い、休日分も暦日で累積しています。設定前の部分には配当・調達スプレッド・実際の追随誤差を含めていません。別の仮定やデータで計算すれば、回復日や残高は変わります。
ドル円はFREDのDEXJPUSを使用し、欠測日は直前値を引き継ぎました。ニューヨーク正午の参考レートなので、ETF終値と時刻は一致しません。データ取得日は2026年10月25日です。
- NASDAQ:金融危機前後のNASDAQ100の高値・安値
- ProShares:QLDの商品情報/TQQQの商品情報
- Yahoo Finance:QLDの価格履歴/TQQQの価格履歴
- FRED:NASDAQ100/ドル円(DEXJPUS)/FF実効金利(DFF)
まとめ|回復日だけでなく、途中の残高も見ておく
- 100万円+毎月1万円、為替込みの条件では、QLD・TQQQとも初回回復まで約4年4か月
- その途中、112万円の累計入金に対して、残高はQLD約17.9万円・TQQQ相当約6.2万円まで減少
- 初回回復後も再び元本割れした
- TQQQの設定前は推計であり、日本のレバナス・タマレバそのものの成績ではない
上がったあとのグラフは、どうしても魅力的に見えます。でも、実際に付き合うのはその途中にある下落も含めた値動きです。シミュレーターで自分の金額を入れて、「この残高でも続けられるかな」と考える材料にしてもらえればと思います。
※本記事は過去の特定期間を用いた試算で、将来の利益や元本回復を保証するものではありません。レバレッジ型商品には大きな損失が生じるリスクがあります。特定の商品への投資を推奨するものではありません。









