「先生は所得が高いので、不動産投資をすると節税になりますよ」
僕が30歳でワンルームマンション投資を始めたとき、かなり魅力を感じた言葉の一つが**「節税」**でした。
医師として働いて数年。
給料が上がってくる一方で、
「税金、こんなに取られるんや……」
と思っていた時期でもありました。
そんなときに、
「不動産で赤字が出れば、給与所得と相殺できます」
「先生は所得が高いので、税金も戻ってきます」
と説明されました。
当時の僕は、
「なるほど。不動産を持ちながら節税までできるんか」
と、ふむふむ聞いていました。
そして実際、購入した初年度。
数十万円くらい税金が戻ってきました。
「ほんまに節税できるやん」
と思いました。
でも5年ほどワンルームマンションを持って、自分でも税金や不動産について勉強するようになった今。
「節税になるからワンルームを買う」という考え方は、僕はおすすめしません。
今回はその理由を書いてみます。
これまでの記事はこちらです。
【第1回】
医師が新築ワンルームマンション投資を始めて、売却を決めるまで【実体験】
【第2回】
サブリースは解約できない?医師がワンルームマンション投資で実際に苦労した話
※この記事は僕自身の経験について書いたものです。税務上の扱いは個々の状況によって異なるため、実際の判断は税理士などの専門家に確認してください。
- ワンルーム投資で初年度に数十万円の還付があった理由
- 2年目以降、還付額が10万円未満まで減った実体験
- 「赤字を作って節税」の考え方で注意したいこと
- 減価償却と売却時の税金の関係
- 「節税目的では買わない」と思った理由
初年度、本当に数十万円の税金が戻ってきた
まず、
「不動産投資をすると税金が戻ってくる」という話が全部ウソだったのか?
というと、僕の場合はそうではありませんでした。
購入初年度は、実際に数十万円程度の還付がありました。
不動産所得は、家賃収入などから必要経費を差し引いて計算します。
その結果、不動産所得が赤字になった場合、一定の例外を除いて他の黒字の所得と損益通算できる仕組みがあります。
当時の僕は営業担当者から、
「不動産の赤字を給与所得と相殺できます」
と説明されました。
医師として給与所得がある僕にとって、
「不動産で赤字が出る」
↓
「給与などの所得と相殺する」
↓
「税金が戻ってくる」
という話は、とても分かりやすく魅力的でした。
当時の僕は、
「これはええやん」
と思っていました。
でも2年目から、還付額は一気に小さくなった
初年度
👉 数十万円の還付
↓
2年目以降
👉 10万円未満
毎年、初年度と同じような還付が続くわけではありませんでした。
初年度は「節税になる」という説明どおり、ある程度の還付を実感しました。
ただ、2年目以降は還付額がかなり小さくなり、「毎年ずっと大きな節税になるわけではないんやな」と感じるようになりました。
初年度の還付額だけを見て、
「これから毎年こんな感じで節税できるんや」
と思っていた僕は、かなり甘かったと思います。
「赤字を作って節税」って、そもそもどうなん?
さらに自分でお金の勉強をするようになって、根本的な疑問を持つようになりました。
それが、
「節税するために赤字を作るって、投資としてどうなん?」
ということです。
例えば税金が10万円減ったとしても、投資そのものでそれ以上のお金を失っていたら意味がありません。
当たり前なんですが、当時の僕は、
「税金が戻ってきた=得した」
という感覚がかなり強かったです。
でも本当に見るべきなのは、
- 家賃収入
- ローン返済
- 管理費
- 修繕積立金
- 固定資産税
- 売却価格
- 売却時の税金
まで全部含めて、最終的に自分の資産がどれくらい増えたのか。
こっちだったと思います。
減価償却は「税金が消える魔法」ではなかった
ワンルームマンション投資の節税でよく出てくるのが減価償却です。
① 建物部分を毎年少しずつ経費にできる
② その分、売却時に使う取得費も小さくなる
③「経費にした分の税金が永久に消える」とは限らない
購入当時の僕は、「減価償却=毎年節税できるもの」くらいに考えていました。
でも売却まで考えるようになって、今の税負担だけでなく出口まで含めて見る必要があると分かりました。
でも、自分で売却について調べるようになって、
「あれ、売るときはどうなるんや?」
と気づきました。
建物を売却するとき、譲渡所得を計算するための取得費は、購入したときの建物価格がそのまま残っているわけではありません。
所有期間中の減価償却費相当額を差し引いて計算します。
つまり、減価償却が進むほど、売却時に使える建物の取得費は小さくなります。
取得費が小さくなれば、同じ金額で売れた場合でも、譲渡益は大きくなる方向に働きます。
だから今の僕は、
「減価償却した分だけ税金が完全に消えた」
とは考えていません。
むしろ、
今の税負担を軽くする一方で、売却時の税負担にも影響する。
そこまで含めて考える必要があったんやなと思っています。
30歳の僕は、
「減価償却で節税できます」
で話が終わっていました。
今なら絶対、
「で、売るときはどうなるん?」
まで聞きます。
「節税できた」と「儲かった」は全然違う
僕がこの5年間で一番勘違いしていたと思うのがここです。
節税できた=投資として成功
ではありません。
税金の還付:+20万円
物件価格の下落:−300万円
大事なのは、税金がいくら戻ったかではなく、購入から売却まで含めて最終的にいくら残ったか。
今はそこまで見て、投資として得だったのかを判断するべきだったと思っています。
当たり前の話なんですけどね(笑)。
気づくのにだいぶ時間がかかりました。
じゃあ僕のワンルーム投資は失敗だったのか?
ここは少し面白いところです。
ネットで新築ワンルームマンション投資を調べると、
「やめとけ」
「儲からない」
という意見をかなり見かけます。
僕自身も、今なら人にはおすすめしません。
ただ、僕の場合。
市況にも恵まれて、
売却まで含めると、結果的にはまずまずの利益が出そうです。
これは事実です。
だから、
「新築ワンルームを買ったら全員必ず損をする」
と言うつもりもありません。
一方で、
「自分がたまたま利益を出せた=いい投資だった」
とも思っていません。
サブリースの解約。
管理費・修繕積立金。
住宅ローンへの影響。
出口戦略。
売却業者との交渉。
そして税金。
この5年間、結構ひやひやしました(笑)。
結果だけではなく、
そこまでに取ったリスク、拘束されたお金、手間まで含めて投資を考えたい。
今はそう思っています。
後輩医師に「節税目的でワンルーム買います」と言われたら
もし今、後輩の医師から、
「先生、税金高いんで節税目的でワンルーム買おうと思ってます」
と言われたら。
僕なら、
「それはマジで一回待った方がええで」
と言います。
少なくとも僕の場合、
初年度は確かに数十万円の還付がありました。
でも2年目以降は10万円を切るくらい。
しかも減価償却についても、売却まで考えれば、
「経費にしたから、その分の税金が永久に消えた」
という単純な話ではありません。
何千万円ものローンを組んで不動産を買う理由が、
「税金が戻ってくるから」
だけなら、今の僕はやりません。
もし本気で税負担も含めた資産形成を考えるなら、ワンルームマンションだけに決め打ちせず、
他の不動産や投資方法、使える制度も含めて比較する。
その上で必要なら税理士などの専門家にも相談する。
その方がいいと思います。
「節税になります」だけで買わない
30歳の僕は、
「節税になります」
という言葉にかなり弱かったです。
税金が戻ってくる。
家賃保証もある。
管理もやってくれる。
「医師の自分にめっちゃ向いてるやん」
と思いました。
でも今なら、
「節税額はいくら?」
だけではなく、
「10年後に売ったら、最終的に手元にいくら残る?」
を先に考えます。
税金は投資を考えるうえで大事です。
でも、
節税するために投資するのではなく、投資として成立するかを先に考える。
順番はこっちだったんじゃないかなと思います。
僕はそれを逆に考えていました。
その後、実際に4社へ売却査定を依頼したところ、提示された金額には最大約500万円の差がありました。
1社だけに相談していたら、その価格が相場だと思って売っていたかもしれません。
詳しい経緯はこちらの記事にまとめています。

ワンルーム投資シリーズはこちら



