株式投資の世界には「希薄化(dilution)」という言葉があります。
ちょっと難しそうに聞こえますが、メタプラネットの戦略を理解するにはとても重要な概念です。
この記事では、メタプラネットがなぜ「希薄化戦略」をとっているのか、初心者にもわかりやすく解説します。
そもそも「希薄化」ってどういう意味?
「希薄化」とは、一言でいうと会社が新しい株を発行することで、既存の株主の持ち分が薄まることです。
例えば、あなたが100株中10株を持っていたとしましょう(持ち分10%)。
会社が新たに100株を発行して、全部で200株になったら、あなたの持ち分は5%になります。
これが「希薄化」です。
つまり、あなたの取り分が減るということです。
もう一つの例で考えてみましょう
・ピザを4人で等分して食べていたところに、さらに4人が来て、ピザの枚数はそのままだったら?
→ 一人あたりの取り分が減りますよね。
・会社の利益というピザがそのままでも、株の枚数(人数)が増えると、1人あたりの取り分が減る。
これが株式の希薄化です。
メタプラネットの「希薄化戦略」とは?
では、メタプラネットはなぜあえて自社株を増やして、既存株主の取り分を減らすような戦略を取っているのでしょうか?
その背景には、「ビットコインをたくさん買うため」という明確な目的があります。
順を追って解説します。
1. ワラント(新株予約権)を発行
メタプラネットは「ワラント」と呼ばれる、新しい株を発行できる権利をファンドなどに与えます。
この権利を使うと、ファンドは決まった価格で株を買うことができるのです。
ファンドから見ると、「将来値上がりしそうな株を、いま安く買える」権利なので魅力的です。
2. ファンドが株を売って資金を回収
ファンドは手に入れた株を市場で売ることで現金を手に入れます。
これによって市場に出回る株の数が増えるため、**株価が下がる(=希薄化が起こる)**傾向になります。
3. メタプラネットには現金が入る
ファンドが株を取得する際には、決まった行使価格でメタプラネットにお金を支払います。
つまり、メタプラネットはこの資金を使ってビットコインを買うことができるのです。
ここがポイントです。
新株を発行して得た資金で、資産(BTC)を積み上げていくという戦略を取っているのです。
メリットとデメリット
メリット
- メタプラネットは借金せずに資金調達できる
- 調達した資金でビットコインを購入し、資産を増やせる
- ビットコイン価格が上昇すれば、会社の価値も増える可能性がある
デメリット
- 株が増えることで1株あたりの価値が薄まる(希薄化)
- 株主の持ち分が減るため、既存株主にとっては損になる可能性もある
- 株価が短期的に下がりやすくなる
わかりやすいたとえをもう少し
- ピザのたとえに続いて、「会社=スポーツチーム」でも考えてみましょう。
最初は選手10人で報酬を山分けしていたのに、急に20人になったら、1人あたりの給料は減ってしまいますよね。
でもその増えた選手が全員優秀で、チームが勝ちまくれば、将来的には報酬総額が大きくなって全員得をするかもしれません。 - メタプラネットも、株主の取り分を減らしてでも、チーム(会社)の総戦力を上げる=BTCを増やすという方針を取っているわけです。
まとめ:短期と長期、どちらを重視するか
メタプラネットの希薄化戦略は、短期的には株価が下がるリスクもありますが、
長期的にはビットコイン価格が上がれば、大きなリターンをもたらす可能性もある戦略です。
要するに、
「今は株主の取り分が一時的に減るけれど、
将来的に会社のケーキ(資産)自体を何倍にも大きくしてみせる」
という考え方です。
株主としては、「一時的な取り分の減少を我慢してでも、会社がビットコインで勝負に出ることを応援するか?」
それが、この戦略への評価の分かれ目になります。